サマリー
- 抗レトロウイルス療法(ART)は、HIVを抑制する効果がある。
- ゲイカップル782組を対象に8年間にわたる調査を実施。
- コンドーム不使用でも、ARTを受けていれば感染を広げることは無かった。
抗レトロウイルス治療がHIVを抑制する効果
抗レトロウイルス療法(ART)*1は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)を抑制する効果があることを示した研究が、2日に発表された。この研究は、ゲイカップル782組を対象にした8年間にわたる調査を行い、英医学誌であるランセット(The Lancet)に掲載された。
片方がHIVに感染しているゲイカップルを対象とし、コンドームを付けない状態でのセックスでも、感染者が抗レトロウイルス療法を適切に受けていれば、非感染者側はパートナー経由での感染が無かった。対象者から報告されたセックスの回数は76,000回以上だが、カップル内でのHIV感染は発生しなかった。
ハードルが高いART、ほぼ毎日投薬が必要
この研究結果は、HIVの根絶に向けた大きな一歩であるとともに、エイズ患者の治療にも資する結果となった。しかし、HIV感染者のほとんどは25歳未満であるにもかかわらず、対象者の中央値が38歳であることは、今回の研究の限界であり、さらなる研究が求められる。
また、ARTの効果を発揮するためには、ほぼ毎日薬を飲み、HIVウイルスを検出不可能な量にまで抑える必要がある。しかし、薬の価格が高いなどの理由で継続的な服用が難しくなるケースもあり、問題とされている。
Source:
*1:抗レトロウイルス薬を使用した治療法。HIVが体内で増殖することを阻害する薬の投薬を受け、HIVを検出不可能レベルにまで下げる治療法。