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悩み: ホゲてる人が苦手です。どう付き合っていくべきでしょうか?―鳥の頭で考えた(2)

こんにちは、ハロボ編集部です!火曜日はお悩み相談「鳥の頭で考えた。」の日です。回答者は、アルファペンギンとして鋭いツイートを日々発信する鳥さんです。

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悩み:ホゲてる人が苦手です。今後どう付き合っていくべきでしょうか?

21歳男性です。 私のゲイの友達はオネエ言葉(以下ホゲてると表記します)を日常的に使います。

普段からテレビでよくみる芸能人が話すような言葉や口調で会話をするため、いつも切り返しに困ってしまいます。

自分がホゲることに抵抗もあるし、何より大声で相手がホゲてることもあり、周りの人達の視線も気になってしまいます。

ただ友達のことが嫌いなわけではないですし、場をおもしろおかしくしようと盛り上げてホゲてくれてる部分もあり、私自身楽しんでいる節もあるため、「声デカすぎる(笑)」と伝えることもありますが、基本的に一緒に楽しんでしまいます。

ゲイの人達でホゲてる人は少なからずいますが、今後多くの人と付き合っていく中でどのような対応をしていくのが正解でしょうか?


回答:鳥さんからのアンサー🐧

拝啓 質問者さま

空の不安定な時候ですが、いかがお過ごしでしょうか。鳥です。当方水鳥ですが、雨降りで湿気の多い日はなんかちょっと羽毛のコンディションが悪いです。

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さて、お悩み拝読いたしました。正直のところ、鳥類にとってもこれは答えるのが難しい問題です。ご返信自体、おっかなびっくりしたためているくらいです。冗長な文章になることをご容赦ください。

鳥がこれからお伝えする回答に至ったその思考過程こそが、解決の糸口かもしれないと思ったので、ほぼそのまま考えたことを書き連ねます。

受け入れられないときはどうすれば?

まず、「友人である以上は相手のありのままを受け入れるべき」という有り体な言いぐさで回答に代えようと、一度は思いました。

しかし、大切なのは「受け入れられないときはどうすれば」という視点です。 「世間体を気にするなどおかしい」というあなたの意見は、たしかに一理あります。大切な友人よりも他人の視線を重要視するならば、そもそも友人であることの意味が揺らぎます。

でも私たちは「世間」の中に生きています。世間から完全に自由であることはありえません。

誰しもその背中に軽くはないコミュニティを背負って暮らしています。完全に自由になれない「制約」の中でせっかく出会えた友人です。にもかかわらず、友人についてひとつ気に入らない点があれば縁を切ったり、限りなく疎遠にしたりといった方略は現実的ではありません。あなたの問題意識に合致するとも思えません。

かと言って、友人を自分の思うがままに作り変えたり、それを求めたりすることもできません。友人という他人は自分の延長では決してありませんよね。ご友人と無理なく接することができ、よりよい関係を築いていくためには、あなたのなかにこそ意識改革の余地があるかもしれません。

なぜ友人のホゲ行動が気になってしまうのか?

いま考えてみたいのは、「なぜ友人のホゲ行動が気になってしまうのか」ということです。

考えられることの1つに、周りにバレてしまうことへの危機感があげられます。あなたがカミングアウトをあまりしないクローズドな方で、そんなホゲる友人と一緒にいることで、学校や職場の友人にセクシャリティを察されてしまう。 そういったシチュエーションを想像すると、少し彼の隣にいるのは気がひけるかもしれません。

仮にあなたに周りへバレることの危機感があるなら、すぐに実践できる具体的な解決策があります。人目に触れない空間で会うか、とても賑わっていて人混みに紛れられる場所を選べばよいのです。中途半端に人目のあるカフェなどはきっと好適ではありません。

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自分がホゲることへのコンプレックス…?

それが本質ではないとすれば、どうでしょうか。

あなたは質問文で「自分がホゲることに抵抗もある」と仰っていましたね。 鳥はここに、あなたの内部にあるコンプレックスの気配を感じました。   先に挙げた他人に知られる危険性は外部的な問題であって、具体的な不利益です。ですから、会う方法、時と場所を選ぶことで、相当レベル回避することができます。

ですが、二人きりの空間で、友人が誇張されたオネエ言葉を使いまくるとして、それがまったく気にならないと言えるでしょうか。 鳥は、我慢できないかもしれないです。それは相手の責任ではなく、鳥のトラウマをリバイバルするものだからです。

以前の自分がフラッシュバックするようで、ホゲが辛い

鳥の話をさせてください。

ヒナだった頃、鳥はよく「オカマ」と言われました。声が甲高く、女の子の友達が多く、男の子の趣味や会話にあまり馴染めなかったからです。それは二十歳前後まで言われ続け、なしくずしに受け入れていたつもりでした。

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ですが、あるときを境に自分の外見が大嫌いになり、極力「オカマっぽさ」から遠ざかろうとして、声色や口調を意図的に作り変えていきました。いつしか「オカマっぽい」とか「女らしい」と言われることはなくなり、成鳥するにつれて、さえずり声や翼さばきも、既に変えようがないほど自分にとって自然な一部となりました。

鳥は、よほどコンテンツとして完成されているか、シチュエーションに合致していない限り、ホゲというものを快く見られません。彼らのせいではありません。他人の注意を惹くことを危惧しているからでもありません。

言うならばそれは、他人を鏡にして、そこに映った自分の像が気に入らないと不快がっている状態です。変わりたくて仕方なかった以前の自分が現在の自分をさいなむようで苦しいのです。

先に述べたように、他人に見られる危惧感が事の本質ならばすぐにできる対処法があります。場所を選ぶこともそうですし、また、「声が大きい」と友人をさりげなくたしなめることもひとつの方法です。口調ではなく音量の問題として指摘するのは有効かつ思いやりのある対処でしょう。

同類だと思われることの腑に落ちなさ

では、それ以外の対処法についてはどうでしょうか。

たしかにホゲというのは一種の文化であって、ゲイバーやゲイ同士などが居合わせたときに共通言語のように使われるものではあります。ただ、自分までそれに合わせる必要はありません。相手が関西弁をしゃべっているからといって、それに合わせる理由がないように。

その上で、他人に見とがめられる心配のない場所で友人と遊ぶとき、それでもなお、何らかの違和感、抵抗感がぬぐえないのだとしたら、そこにはあなた自身の抑圧が隠れているかもしれません。

それは鳥には察しきれないものですが、文脈から考えるに、「同類」だと思われることへの「腑に落ちなさ」かもしれません。

仮にそうだった場合、近道はありません。すこし時間と手間がかかります。

自分に対するちょっとやそっとじゃ揺るがない確信

結局のところ、他人について何か気に入らないと思うとき、本人に欠けているのは自己肯定感であると、鳥は思います。自己肯定感は、自分に対するちょっとやそっとじゃ揺るがない確信、と言い換えることもできます

その確信は、日常のあらゆる局面で少しずつ培養するしかない性質のものです。そして多くの場合、それは、そのとき自分が持っている人間関係と密接に結びついています。

家族、学校、職場、「それ以外」。私たちゲイの世界は、もしかしたら、それ以外の世界に比べてコミュニティが多元的かつ多様かもしれません。それゆえの複雑さ、気苦労もありますが、それでも社会の制約の中から生まれた反射的な恩恵だと思います。

周りを見ることで、悩みを相対化してみる

逆説的なことを言いましょう(あまり知られていない事実を教えてあげるけど、鳥類はけっこうパラドックスが好き)。

ある一人の友人の言動が受け入れられない時、私たちが考えるべきは、その他の人間関係です。ある一人の人間と親しみ、その人を愛するには、あなたが他の人々から親しまれ、愛されているという確信がとても役に立つのです。

すると、今まで一大事のように思えていた友人の振る舞いが、あなたが自律的に運営する人的関係のごく一部の出来事にすぎないように思えてきます。悩みが相対化されるということです。

また、日頃からたくさんの人に出会い、そのつど真摯に相手を見ることで、他人というものがいかに思い通りにならない存在か、そして、そこから選ばれそばに残った友人の尊さに気づくこともできます。

逆に、その人を徹底的に観察してみる

さらに、建設的な考え方をすれば、苦手なものに対する克服法として「徹底的に詳しくなる」というメソッドがあります。

例えば、ペンギンが嫌いな人にあえてペンギンの本を与え、その生態を学ばせると抵抗感が少なくなるというのです。抵抗感があることと未知であることとは同義であることが多いからです。未知って恐怖なので。まあペンギンが嫌いな人なんているわけないけど。ペンギンのかわいさって森羅万象ナンバーワンだし。

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これを人間関係に置き換えてみましょう。もし友人のホゲっぷりが気になるのだとしたら、なんとなくそれを見るのではなく、いっそ徹底的に観察してみてはいかがでしょうか。例えば、そのホゲは、芸能人だと誰に近いですか。IKKOさん?くちばし~~~!!!♡

徹底的に観察するやり方は、ホゲる友人に限った話ではなく、苦手な人間一般とうまく付き合うためのやり方でもあります。「なんとなくムカつく」ではなく、何がどう具体的に苦手なのかを分析し、類型化してエピソードとして語れるようにストックしておくのです。

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そして時には信頼できる友達に悪口でも言っちまえ。悪口がおもしろい人間のメンタルが健康的に見えるのは、苦手な人のことを、少なくとも悪口として昇華できているからです。

悩んでいる時点で愛がある

 あなたの場合、その友人とは仲良しですから、悪意ある悪口の心配はありませんね。既にあなたは彼を受け入れたいという想いのもと、鳥にご相談を寄せてくださったわけです。それだけで、友人の心遣いとしてはかなりラヴリーなんじゃないかなあ。

 お役に立てたかわからないけれど、もしこの手紙を読んで心境の変化があったなら、ぜひお知らせくださいね。それか街で鳥を見かけたら声をかけてください。ペンギンだからすぐわかると思う。週末は神楽坂とかにいるよ。

 駄文長文失敬いたしました。過ごしにくい日が続くかもしれませんが、悩んだ時にはお外で遊んで羽を伸ばしてくださいね。

敬具 鳥


まとめ

  • ホゲる友人が苦手な背景は他人からゲイバレすることへの恐れ・以前の自分がフラッシュバックする辛さなど様々考えられる。
  • 友人の言動が受け入れられない時は、他の友人を思い出して悩みを相対化してみよう
  • 逆に、徹底的に観察して、理解する気持ちも大切。人間関係だけではなく、苦手なものは一度は理解を試みる姿勢を持とう
  • 彼を受け容れたいという姿勢がある時点で、すでに第一段階はクリアしている。変わるきっかけはすぐそこにある

回答者プロフィール

twitter.com

「鳥です。平々凡々なアデリーペンギンです。普段は東京の大学でいろいろな人語を勉強しています。ホットココアのシメにアイスココア」


編集部より

他人が気に入らない時、欠けているのは自己肯定感という言葉、胸に刻んでおこうと思います。「人の振り見て我が振り直せ」とはよく言ったものですね。文章を読んで、「個人的に付き合っている友人は、なんて貴重な存在なんだ」とハッとさせられました。

「鳥の頭で考えた。」は毎週火曜日更新です。現在、質問箱を通して、鳥さんへのお悩み相談を募集中です。以下のリンクから、どしどし質問をお寄せください!

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